5月7日、及び6月25日(昨日)に採取したサマツモドキ?について書く。
縁シスチジアを欠き、側シスチジアがある点で疑問があるので「?」。
まずは5月7日の子実体
スギらしき倒木に4つの子実体が出ていた。
ひだの拡大。縁が微粉状というのがよくわからない、、
かさの表面。赤褐色で鱗片がたくさんある。繊維状。中央は濃色
こちらは柄の表面だが、ちょっと変わった感じ。
柄の頂部は白くなる。
この標本(HH-87)はまだ未熟だったようで、胞子は観察できなかった。
そして6月24日(昨日)
同じ倒木に新たな子実体が出ていた。今度はかなり成長している。
生態写真を撮るのが難しい場所(急斜面)だったのでこんな写真で諦めた。
標本写真。成熟してそうな子実体なので、再度検鏡した。今回はその記録。
ちなみにカメラの位置がずれて、きのこが一部はみ出ているのは秘密、、
かさの表面。幼菌のときは全体が真っ赤だったが、今回の子実体は黄色の地に赤い鱗片。
中央はまだ鱗片が密集していて真っ赤。
顕微鏡で見るとこんな感じで、最上層は赤褐色の太い菌糸からなっている。その下は黄色の細い菌糸が走っている。鱗片の様子がわかりやすくて面白い、、
菌糸にはクランプがある。
柄表皮の菌糸の末端細胞は立ち上がっていて、肉眼的には粉状に見える。
子実層托実質は並列型
なぜか、属の特徴であるはずの縁シスチジアが見当たらなかった。
「もしかしたら、幼菌しかなくて、成長すると縁シスチジアは消失してしまうのか」と考えてみて、5月7日の幼菌の標本も検鏡してみた。
が、やっぱり縁シスチジアはなかった。
かわりに、ひだの側面には側シスチジアがいっぱいあった。
胞子。小型、平滑、無色なので普通に撮るとこんな感じ。大きな油球が1個がある。
これだとよくわからないので・・
輪帯照明で撮った。でもこれでもよくわからない。
偏斜照明。やっと見やすくなった。
コントラストを上げるとこんな感じ
明瞭な嘴状突起があるのがわかる。
胞子 (5.7–)5.9–6.7(–7) × (3.4–)3.9–4.3(–4.5) μm, (n = 47, mean length = 6.29 ± 0.36, mean width = 4.09 ± 0.24, Q = (1.3–)1.4–1.6(–2))
大きさはサマツモドキと一致する。
検鏡図 A 担子胞子. B 側シスチジア. C 担子器. D 柄表皮を構成する菌糸の末端細胞. E かさ表皮の最上層 Bars : A 10μm; B 40μm; C 20μm; D 60μm; E 200μm.