アセタケ科の属への検索表

Genera of Inocybaceae: New skin for the old ceremony (Matheny et al., 2020)を和訳したもの。

赤文字→東アジアに分布

 

1. 側シスチジアがあるか、ない場合はこぶ状か長いロケット形の担子胞子..................... Inocybe

1'. 側シスチジアはなく、担子胞子の外形は滑らかな球形、楕円形、(亜)アーモンド形、(亜)豆形、またはわずかに多角形である.....................2

2. 柄の頂部は微粉状、繊維状、ぬか状または密に細かい綿毛; 子実体は変色性はなく、担子器は無色(壊死色素*1をもたない) ..................... 3

3. 胞子は楕円形か不明瞭な豆形; アカシア以外の多くの属に広く分布し様々な植物と共生する; 縁シスチジアは樹脂性物質をもたない ............... Pseudosperma

3′. 担子胞子は豆形〜卵状楕円形、時にわずかに角ばった外形をもつ; 熱帯のインドでアカシア属と共生する; 縁シスチジアは樹脂性物質をもつ .................. Nothocybe

2′. 柄の頂部は平滑か、子実体は赤変性または褐変性があるか、担子器は壊死色素をもつ ......... 4

4. かさは裂け目があり、柄は平滑; 担子器は無色かつ細長くない (Q < 4.0) ............ Inosperma (Maculataクレードを含む)

4′. かさは密な綿毛状、羊毛状、ささくれた鱗片状、または凹んでいて、柄は平滑でない; 担子器は壊死色素をもち細長い (Q > 4.0) ....................................... 5

5. 子実体は小型、ひだは疎で垂生または直生 (トランペット型/ヒダサカズキタケ型的), かさ表皮は子実下層型の菌糸の柵状被*2、柄は全体に柄シスチジアがある ...... Tubariomyces

5′. 子実体は小さくなく(キシメジ型的)、ひだはやや密、かさ表皮は様々な構造を持つが、柄の全体に柄シスチジアはない ... 6

6. 子実体は赤変性があり、通常、魚のような、古いワインの樽のような、ゼラニウムの葉のような、土のような、独特の臭いがする ......... Inosperma (InocybeCervicolores節を含む)

6′. 子実体は褐変性があるか、傷つけても変色しない; 匂いはもしあれば蜂蜜のようか、不快な臭いで、あるいは上記のような臭いがしない ....................................... 7

7. 縁シスチジアはオーストラリアの分類群では50 μmを超え(シクエストレートの場合は存在しない)、薄壁で無色、アフリカ・インドの分類群ではピラミッド型、色素があり、厚壁で鎖状; アフリカの熱帯雨林、インドの雨の多い常緑樹林、オーストラリアの乾季のある熱帯硬葉樹林と温帯地域に発生 ................................. Auritella

7′. 縁シスチジアはしばしば50 μm未満で、薄壁、無色だが、数種では短い鎖状に連なるか、褐色の殻被に覆われるが、ピラミッド型に連なることはない; 縁シスチジアの長さが50 μmを超える場合は温帯産のみ; 北半球と南半球の温帯地域(オーストラリア、ニュージーランド)に多く、アフリカとオーストラリアの乾季のある熱帯地域や南アジアの熱帯林では多様性が少ない ............... Mallocybe

*1:胞子形成後に崩壊し、黄褐色の色素で満たされた状態

*2:pileipellis a palisade of subhymeniform hyphae